2025年5月1日に休廃止となった松島火力発電所ですが、現在どのような状況なのか、2025年11月に行われた「松島火力発電所感謝デー」での現地見学や地域での対話から見えてきた今の様子をお伝えします。
松島火力発電所見学
J-Powerの保有する石炭火力発電所の多くは年に一度、地域住民を招いた感謝祭が行われ、発電所の見学ツアーが実施されています。すでに休廃止した松島火力発電所でも2025年11月24日に「松島火力発電所感謝デー」のイベントが開催されました。

現在、松島火力発電所の1号機は既に廃止、2号機はGENESIS松島計画への移行を踏まえて休止となっています。見学ツアーでは2班に分けられた参加者が、それぞれ1号機と2号機内を見学しました。我々は1号機のタービン建屋を見た後に石炭留置所(現在は空)の周辺を一周しました。
廃炉となった1号機、解体時期は未定
1号機はすでに今年5月に廃止となっていますが、タービン建屋内の機器類はそのまま置かれており、案内の職員の話では、将来的には機器や建屋を撤去して更地にすることになるはずだが時期は決まっていないとのことでした。また、かつて大量の石炭が積み上げられていた石炭留置所では、職員から石炭の自然発火を防ぐための温度管理を行うため、職員が石炭の山に直接登って専用の温度計を突き刺して行っていたとのこと。石炭火力発電所の運営が専門職の長年の経験的技術によって支えられていることが垣間見えました。
GENESIS松島計画、現場に伝わっていない将来像
GENESIS松島計画に関する参加者からの質問に対して、必要な資材のリストアップなど、工事を伴わずに出来ることは進めているとのことでしたが、今後については26年工事開始という予定以上の情報が現場に共有されていないようでした。松島火力発電所はGENESIS松島計画の実施に備えて2号機も休止となっていますが、その影響で一部の所員は他の発電所に異動となっているとのことで、休廃止の影響はすでに発電所の運営面に表れているようです。
地域と発電所の密接な繋がり
この感謝デーはJ-Power主催のお祭りとして運営されているものです。会場である松島火力発電所は、その名の通り島に立地する発電所であり、西海市から船での移動が必須となるアクセス困難な立地です。また、西海市は過疎化が進む地域であり、人口減少も進んでいます。にも関わらず、感謝デー当日には地域の家族連れが大勢参加しており、発電所が地域と密接に結びついてきた存在であることが伺えました。

所内に設置された出店や屋台を楽しむ人たち
西海市で進む洋上風力
GENESIS松島の計画とは別に、西海市では、江島沖の洋上風力発電事業の計画があります。洋上風力の計画については、現在スケジュール通りに進んでおり、陸上工事について地元への説明が行われて、順調に進行しているようです。また、この事業によって工事期間中の関連産業への波及、作業員宿舎や資材搬入に伴う地域消費の増加などのほか、将来的には、風車の保守点検業務に伴う継続的な雇用創出や関連産業の育成により、地域経済の循環が拡大することが期待されます。
地域の将来と未来に向けたエネルギーの選択
ひとたびこの地を訪問すると、長年、地域経済を支えてきた松島火力発電所は地域とのとても深いつながりを築いていることを感じさせられます。しかし、GENESIS松島計画の進捗や予定については発電所で働く職員や市の職員や地域の人たちにも状況が知らされておらず、判断がJ-Powerの本社や管轄官庁である経済産業省がある東京で独占的に行われているのが実態のようです。本来であればこれほど地域の将来に影響を与えるプロジェクトについては、より地域の参加が図られる形で計画が検討されるべきではないでしょうか。また私たちも今後、今回のような訪問や調査を重ねることで、松島火力とその周辺地域の理解をさらに深めていきたいと思います。
