ブラジルのベレンで開催されていた国連気候変動枠組条約第30回締約国会合(COP30) が閉幕しました。80カ国以上の国々が賛同した脱化石燃料ロードマップ策定の合意は見送られたものの、各国での脱化石燃料の動きは確実に広がりを見せています

COP30では2035年の排出削減目標を含む次期NDC(国が決定する貢献)の提出を促す機運が高まったものの、主要な論点であった化石燃料からの脱却や森林保全のロードマップ策定は、最終的な合意文書には盛り込まれませんでした。

その一方で、韓国やバーレーンが脱石炭国際連盟へ加盟し、コロンビア主導の「ベレン宣言」が発表されるなど、脱化石燃料に向けた各国の具体的な動きが広がりました

日本は2025年2月に次期NDCを提出していますが、IPCCの示す1.5℃目標に沿った削減水準に比べ極めて低い目標であることが、様々な研究機関や環境団体(たとえば、Climate Action TrackerやFoE Japan気候ネットワーク)から指摘されています。

また、日本はCOP30で、脱化石燃料ロードマップに賛同しませんでした。石原環境大臣はCOP会場での取材に対し、「2050年ネット・ゼロに向けて、現実的な路線として、水素、アンモニアを石炭と一緒に混ぜて発電する混焼、もしくはCCUS等を活用することで脱炭素の火力に置き変える取り組みを引き続き推進していくという方針の中での決断です」と説明しました

水素・アンモニア混焼やCCSなどを推進する日本政府の姿勢は、11月13日に日本が「本日の化石賞」を受賞する理由ともなりました。化石賞を主催するClimate Action Networkは、化石燃料を延命させる技術に頼る日本の姿勢を次のように批判しています。

ピカピカとしたパビリオンの中で、日本は二酸化炭素回収・貯留(CCS)、水素、アンモニア混焼を「解決策」と称して推進している。これらは気候変動問題の解決策ではなく、問題を隠してしまう煙幕だ。化石燃料を延命する技術的対応策であって、終焉をもたらすものではない。

化石燃料からの脱却に向けた国際的な動きが広がる中、石炭火力発電を延命させるGENESIS松島計画のような事業を進める余地はありません。COP30に参加した国際環境NGO 350.orgジャパン・キャンペーナーの伊与田昌慶は、次のようにコメントしています

約90カ国が脱化石燃料のロードマップづくりを支持した中、これに背を向けた日本の気候政策における意欲の欠如はベレンでも明らかでした。韓国が石炭火力発電の段階的廃止の宣言に加わったのとは対照的に、日本はいまだに石炭火力発電所増設計画『GENESIS松島』すら抱えています。科学に応えるために必要なのは、化石燃料から再エネへの公正な移行のロードマップであって、さらなる危機を招く化石燃料産業へのさらなる投資ではありません」

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